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本当は知らなかった 日本のこと

本当は知らなかった 日本のこと 本当は知らなかった 日本のこと

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発行年月 2006年11月刊行
価格 定価 1,650円(税込)
判型 四六判
装丁 並製
ページ数 195ページ
ISBN 978-4-87290-287-7
内容紹介

鳥越氏がはじめて「戦後日本」を読み解いた一冊。
終戦を5歳のときに迎え、その後、「ニュースの職人」として活躍してきた氏
が、「どうして現代はこういうふうになったのか」をひとつひとつ解明してい
く。その「ひとつひとつ」感が本書の特徴でもある。

たとえば、第1章の「2007年問題」。いよいよ大量退職者が出るといわれる
この問題。じつは氏が子どものころから、「団塊の波」として、節目節目で日本
社会に大きな「衝撃」を与えてきた。「小学校入学時での机不足」にはじまり、
中学、高校でも激しい競争があったり。

そして、最後の津波として「介護問題」「年金問題」「市場の縮小」が、襲いか
かろうとしている。それは、まさに「ディープ・インパクト」だ、と氏は述べ
る。

つまり、2007年問題とは、戦後のベビーブーマーに端を発していることがわ
かる。

こうした「つながり」として、現代の事象と過去の事件が浮かび上がってくる。

読み解く現代の事象は「2007年問題」のほかに、ロハス、体感治安、少子高
齢社会、軍産複合体、グローバリゼーションの6つ。6章を読み進むうちに、ま
るで「物語(ストーリー)」を読んでいるように、歴史が自分のものになってい
く。

そして、忘れてならないのが、しりあがり寿氏の漫画とコラム。鳥越氏とは違う
角度から、「団塊」「アメリカ」「スバラシイ国」といったテーマを描いてい
る。ギャグ漫画とシリアス漫画の2パターンが各章に入っていて、どちらも味わ
い深い。

学校では習わなかった「戦後」が、面白くかつ深く学べる1冊。

目次

抜粋
(しりあがり寿、おわりにより)

鳥越さんのお話を聞いていると、ホントに歴史はつながっているんだな、と思
う。
今おきてる現象の元をたどると実は何十年も前の事件や政策だったり、そしてお
そらくその何十年も前の事件や政策もまたその前の何かの帰結なのだろう。
また逆に、現在から未来へ向けてもこの瞬間のさまざまな判断が将来のありよう
を大きく左右するように めんめんとつながってゆくにちがいない。
しかし物事の因果はそう単純ではなく、歴史の縦糸と横糸が
まさに縦横にからまり未来を予測することはホントにむずかしそうだ。
よかれと思った決断が思いもよらぬ惨禍を招いたり、窮余の一策が思わぬ効果を
生んだり、歴史は人間の能力や願いを飲みこみながらもまるで別の生き物のよう
にダーっとかいって流れてゆく。
だからと言って人は生きてゆくために因果の先を見通す努力をあきらめるわけに
はいかない。
しかしまわりをながめると時代の流れがどんどん速くなっていて、テクノロジー
の加速度的な発達に伴い社会の仕組みや、
人々の価値観もどんどんビュービュー変化してゆく。
親が子どもに何かを教えようとしても、自分が若いころ得てきた経験はもう役に
立たない。
そんな人間の世代交代のサイクルをはるかに超える変化の速さ、
この速さにみな翻弄され、不安を覚え、そして未来をあきらめ刹那的になってい
るのかもしれない。
それでも人は、なるべく遠くを、かすみゆらぐ未来を目を凝らして見極めながら
今を生きていかなければならない。
なんだかこの社会は、真っ暗な坑道をインディー・ジョーンズさながら猛スピー
ドで走ってゆくトロッコのようなものかもしれない。 行く先に突然カーブが現
れる。
分かれ道を間違えば奈落の底に落ちてゆく。
ボクたちはそんなあやういトロッコにのった運命共同体なのかもしれない。
社会の変化という急カーブを一瞬でも早く察知できればスピードを落とすなり、
余裕を持った対応でトロッコはカーブを乗り切るだろう。
しかし、変化への対応がおくれれば必然トロッコは急カーブを切らざるをえなく
なり多くの人が振り落とされる。
さらに言えば乗員がカーブを切ったという意識すらなくスムースに進路を変更し
てゆくのが上策であり、「改革」を声高に叫んで上を下への大騒ぎをし、人を振
り落としながら進路を変更してゆく のはヘタな舵取りなのかもしれない。
そんなトロッコの行く先を占うには、過去からつながる歴史の糸をたんねんに見
ることが大切なのだろう。
この本をつくる際、鳥越さんは教師でボクは生徒だった。
デキの悪い生徒が必死でレポートを書くようにマンガを描いてみた。
この本で書かれた団塊の世代、少子化、日米同盟、資源争奪戦、などなど。
どのテーマも、過去から現在につながっているだけでなく、
まさに現在から未来へとつながりこれからその因果の「果」が現れてくる問題ば
かりだ。
これから先ボクたちはどうなってゆくんだろう?
この本が行く手の闇を照らすちっぽけでもひとつの光になればなー、なんて思
う。

著者紹介

鳥越 俊太郎(とりごえ しゅんたろう)

1940年福岡県生まれ。
京都大学文学部卒業後、毎日新聞社に勤める。毎日新聞大阪本社社会部、東京本社社会部、テヘラン特派員、「サンデー毎日」編集長を経て、1989年よりニュースキャスターに。
2001年4月「日本記者クラブ賞」受賞。2004年「警察の裏金」シリーズ特集の放送に対して「ギャラクシー大賞」を受賞。「スーパーモーニング」コメンテイター、関西大学客員教授、「Ohmy News」編集長

しりあがり 寿(しりあがり ことぶき)

1958年静岡県生まれ。
多摩美術大学グラフィックデザイン専攻。
1981年食品メーカーに入社、宣伝・商品企画に従事する一方、漫画家としても活躍。1994年専業漫画家となる。
2000年『時事おやじ2000』(アスペクト)、『ゆるゆるオヤジ』(文藝春秋)にて第46回文藝春秋漫画賞を受賞。2001年『弥次喜多in DEEP』(エンターブレイン)にて第5回手塚治虫文化賞「マンガ優秀賞」を受賞