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なぜ、改革は必ず失敗するのか

なぜ、改革は必ず失敗するのか なぜ、改革は必ず失敗するのか
発行年月 2008年6月刊行
価格 定価 2,090円(税込)
判型 四六判
装丁 上製
ページ数 224ページ
ISBN 978-4-87290-332-4
内容紹介

徹底的な自治体「経営」の改革を断行した著者が見たものは?
自治体を破たんさせる無責任の構造がそこにあった!
改革を阻むものとの実戦記と、自治体経営コンサルタントとしての提言を綴る。

目次

はじめに──2050年の地方の姿

 

第1部 ある自治体「経営者」の挑戦

──佐賀市、1999~2005

 

第1章 バブルの残滓を除去する

1 佐賀市財政の病弊とは

何からはじめるべきか?

人口減少・高齢化による福祉費用の増加

減収する税

 

2 無駄な事業を清算する

方針とバランス

公共事業を絞る

第三セクター開発計画の中止

「エスプラッツ」の悲劇

 

第2章 経営刷新は人事からはじまる

 

1 職員管理の鉄則

「四月一日人事」との対峙

二つの狙い

 

2 不明瞭人事の解体

給料制度における「慣行」の廃止

管理職評価にメスを入れる

OBの天下りポストの廃止

 

3 議会勢力との神経戦

地方自治=一元代表制?

助役「人事」の経緯

議会運営の苦心

執行部と議会の埋まらない溝

口利き報告制度の導入

 

 

第3章 経営効率化のための公共資産売却

 

1 役所仕事のコストカッター

市長専用車を売却

業務の民間委託と官民の給与格差

効率化のためのIT導入

韓国から自動交付機を導入

 

2 公営資産の民間売却

ガスとバス──二つのカット対象

公営ガス売却をめぐる激しい反対

一度目は否決、二度目で可決

頓挫した公営バス売却計画

 

 

第4章 談合体質と向き合う

 

1 公共事業への依存体質

技術力のない市役所、地元業者

 

2 談合を不要とする構造を作る

談合を減らすために

落札率を落とせばいいのか?

市役所の技術者を育てる

ヒットマンの襲撃

 

 

第5章 実を結んだ経営改革

 

1 役所仕事に生まれた変化

日曜日窓口を実現

 

2 コスト削減と工事の遂行

ゴミ焼却炉の建設へ

 

下水道整備の遅れを取り戻す

新技術導入が困難な理由

 

3 九州第一の改革自治体へ

11%の人員削減

 

 

第6章 市街地の活性化と産業振興対策

 

1 衰退する中心市街地と都市計画

中心市街地活性化対策を考える

なぜ、中心市街地は衰えたのか 

衰退の影響 

郊外拡散型から中心部に再集結を 

 

2 街に活気を取り戻すためには

神社仏閣を生かしたイベントの開催 

佐賀城下えびす巡り必当祈願ツアー 

商人の勉強の場の提供 

それでも衰退は止まらない 

 

3 建設業に代わる産業をどう育てるか?

主要産業の新たな育成という難題

「雑木林経済振興策」を試みる

韓国からのゴルフツアー

企業誘致の成功

何が誘致を可能にしたか

役人出身の限界

 

 

第7章 乗り越えられなかった壁

 

1 県庁という障害物

国、県、市という序列意識

「地方分権」の実情

県立病院移転問題

 

2 「人材格差」是正のために

人材を「供出」する仕組みからの脱却を

県教育委員会との対立

おわりに なぜ、改革は破れたのか

 

 

第2部 自治体経営の未来へ──夕張、首都圏、そして……

 

第1章 夕張市財政破たんの教えるもの

 

1 道路に輝く銀色の点

夕張希望の杜にふれて

単純な「ごまかし」がなぜ続いたのか

内部からの冷ややかな声

夕張を走る

補修できない道路の存在

 

2 財政破たんの原因

予想を上回る人口流出

地域再建努力の過程

破たんを招いたもう一つの原因

10年以上前にやるべきこと

石炭産業に代わる産業は?

観光収入の見通し

 

 

第2章 自治体「再生」はありえない

 

1 「再生」という誤解

「再生」への疑問 

 

2 人口減少・働く世代の減少・高齢化のもたらすもの

人口推移を把握する

高齢化と自治体の四タイプ

「人口減少」「働く世代の人口の減少」「高齢化」を別々に見る

率ではなく、「数」にこだわる

高齢化の地域差

 

 

第3章 首都圏に埋められた時限爆弾

 

1 迫られる高齢者対策

首都圏の隠れた大問題

恵まれた財政はいつまで続くのか

 

2 医療のコストカットを迫られるとき

予防医療の徹底 

終末医療を議論しなければならない 

 

 

第4章 再生産ができなくなった社会

 

1 出生率冷え込みの意味するもの

都市部の出生率の現実

保育所・幼稚園の増設と無料化の必要性

 

2 子育て支援の重要性

小児科医と婦人科医の確保を 

 

 

第5章 自治体経営のコストカット

 

1 効率化とスリム化

団塊世代の大量退職を前に

ITによるスリム化の手法

ノウハウを積極的に「真似」する

人員コストを削減する多能工化

 

2 自治体経営コスト削減チェック項目一覧

効率化、スリム化のバロメーター

レベル1

レベル2

レベル3 

 

 

第6章 富を生み出す仕組みを作るために

 

1 地域間所得格差の行方

道路特定財源をめぐって 

都道府県間の所得格差を見る 

「地方間格差」はあるのか? 

 

2 「格差」で見誤る問題の所在

地方産業構造のウィークポイント

地方がいま、考えるべきこと

地方経済が変わらないのは?

 

3 地域振興、各地の試み

「徹底」が客を呼ぶ

アジアの観光客を呼び込む

高齢化社会を逆手に

 

4 本質的課題としての「人材格差」

人材、その3つの格差

役所に企業経験者を

地方における人材育成の現状

学ぶ場を見つけよう

各地方公立大学の改革を

人材の地方への還流を

在野の人材を求める

著者紹介

木下 敏之(きのした としゆき)

1960年、佐賀県佐賀市生まれ。
東京大学法学部卒業後、農林水産省に入省。
1999年3月佐賀市長選挙に当選。県庁所在地の市長としては39歳で当時最年少。2005年9月まで2期6年半佐賀市長を務める。同年10月の合併にともなう新佐賀市市長選挙において4,000票差で落選。6年半の市長時代に行った改革は、福祉、教育、環境、IT、観光、入札改革など幅広く、全国の行政改革関係者には急進改革派として知られる。
2006年10月東京財団上席研究員に就任。欧米との比較を通じて地方自治制度のあるべき姿を研究中。慶応大学、中央大学等非常勤講師。現在、ITと省エネのベンチャービジネスに携わりながら、多様な行革ノウハウを自治体に広げていくための講演活動や、コンサルティング活動を行う。