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『働く幸せ』スペシャルインタビュー



『働く幸せ』スペシャルインタビュー
働く幸せ公式ブログ: http://ameblo.jp/hatarakushiawase/


―――知的障害者の方を雇用されたきっかけは?

チョークの検品をする大山会長。
チョークの検品をする大山会長。

 今から約50年前のことです。養護学校の先生に、卒業生の就職を受け入れてほしいとお願いされたんです。私は、知的障害者の方と接したことがなかったので、申し訳ないけれどもお断りしました。
 しかし、先生は何度も足を運んで訴えられました。そして、「あの子たちは、一生働くことを知らずに、この世を終わってしまう人となるのです」とおっしゃいました。この言葉で、ようやく“同情心”が芽生え、「2週間程度の就労体験なら」ということで引き受けたのがきっかけとなりました。

――どうして、障害者雇用を本格化されたのですか?

 障害者の方と一緒に働くなかで、どうしてもわからないことがありました。施設で楽に過ごすこともできるのに、なぜ、一生懸命に働こうとするのか理解できなかったのです。
ある日、禅寺のご住職にその疑問をぶつけてみたんですね。すると、住職さんは、こうおっしゃいました。
「人間の究極の幸せは、(1)人に愛されること、(2)人にほめられること、(3)人の役にたつこと、(4)人から必要とされること。働くことによって愛以外の3つの幸せは得られます。障害者の方たちが、企業で働きたいと願うのは、社会で必要とされて、本当の幸せを求める人間の証なのです」
 私は、胸のつかえがとれる思いでした。障害者も健常者もない、人間の根源にかかわる大切なことを教えていただいたのです。そして、1人でも多くの障害者の方々に「働く幸せ」を感じてもらえるようにしたいと考えるようになったのです。

――大山さんにとって「会社」とは?

 人は働くことで幸せになれる。であれば、会社は社員に「働く幸せ」をもたらす場所でなければならない。そのように、私は考えています。
 もちろん、会社を存続させるためには利益を出すことが絶対条件です。しかし、「利益第一主義」のために、社員が働くことに幸せを感じられなくなってしまえば、会社が永続的に発展する力は失われてしまいます。だから、会社にとっても「働く幸せ」はとても大事なものなんです。

――読者へのメッセージをお願いします。

社員の林緋紗子さんと大山会長
障害者雇用第1号社員の林緋紗子さんと大山会長。今も元気に働いていらっしゃいます。

 障害者雇用を始めてはや50年が過ぎました。ここまで私を導いてくれたのは、知的障害者の皆さんにほかなりません。働くことの意味、人生にとって大事なこと、すべて彼らに教えてもらってきたのです。
 今回、出版した書籍には、私が知的障害者に学んだ大切なことを書かせていただきました。派遣切り、リストラ、働き盛りのうつや自殺の増加など、近年、健常者にとっても、「働く幸せ」を実感することが難しくなっているように感じます。本書が、頑張って働いていらっしゃる皆さまのお力になれれば幸いです。そして、障害者も健常者も、老いも若きも、分け隔てなく、誰もが「働く幸せ」を実感できる社会をつくるために、皆さんと力を合わせていければと考えております。

大山泰弘プロフィール

1932年東京生まれ。㈱日本理化学工業会長。
日本理化学工業は、1937年に父・要蔵が設立したチョーク製造会社。中央大学法学部卒業後、病身の父の後を継ぐべく同社に入社。1974年、社長に就任。2008年から現職。
1960年、はじめて知的障害者を雇用して以来、一貫して障害者雇用を推し進めてきた。1975年には、川崎市に日本初の知的障害者多数雇用モデル工場を建設。現在、74人の社員のうち53人が知的障害者(障害者雇用率約7割)。製造ラインをほぼ100%知的障害者のみで稼動できるよう、工程にさまざまな工夫を凝らしている。こうした経営が評価され、2009年、渋沢栄一賞を受賞した。

 

 

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仕事でいちばん大切なこと


大山泰弘 著

2009年7月刊行
定価 1,470円(本体 1,400円+税)
四六判 ソフト 192ページ
1,470円(本体1,400円+税)
ISBN 9784872904192
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