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特集
『利他のすすめ』著者 大山泰弘氏×『働く君に贈る25の言葉』著者 佐々木常夫氏 対談 幸せに生きるために、いちばん大切なこと

第1回  
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人のために働くことが、自分の幸せとして返ってくる

佐々木 私が初めて日本理化学工業のことを知ったのは、『日本でいちばん大切にしたい会社』(坂本光司著、あさ出版)の記事でした。「社員の7割が障害者雇用の会社」として取り上げられていたのを読んだのが最初です。それから大山さんのご著書『働く幸せ』を読ませていただいて、“「世のため人のため」に働くことが自分の幸せにつながる”という大山さんの言葉に大変感動しました。
 私の『働く君に贈る25の言葉』は、大山さんの本から刺激を受けて「人は何のために働くのか」という問いがベースになっているんです。

大山 私は、たまたま知的障害者を雇用する機会に恵まれて、人間にとって働く幸せがどれほど大切か、気づかされたものですから。でも、雇用するまでは、私も一般の人と同じように、障害者に対して偏見を持っていました。
 いまから約50年前、知的養護学校の先生が就職のお願いに訪ねて来られたときなんて、「精神のおかしな人を雇ってくれなんてとんでもないですよ」と断ったんです。当時、知的障害者のことを精神薄弱児と言ってまして。それでも先生は3度やってきて、「せめて働く体験をさせてほしい」と懇願されるので、「2週間程度なら」と2人の実習を受け入れました。
 当初、「実習期間が終われば断ればいい」ぐらいに思っていました。でも、2週間経ったとき、従業員が「あんなに一生懸命に働いているのに、卒業と同時に施設に入れられちゃうんじゃかわいそう。2人なら私たちが面倒をみるから、なんとか入れてあげて」と。それで2人を雇ったのがスタートでした。そうやって、ずるずると流されながら、その都度一生懸命やってきたのが日本理化学工業です。

佐々木 ふつう、ずるずるといかないですよ(笑)。養護学校の先生が頼みに来て、社員にお願いされて、「なるほど」と思って受け止められるのは、その人が持って生まれた器だと思います。みんな、いい話を聞くのは好きでも、実際に行動には移さないですから。

大山 佐々木さんの『働く君に贈る25の言葉』に「逆風の場こそ君を鍛えてくれる」という言葉がありますが、私の場合も多少、そういう面があったのかなと思います。
 親父が病に倒れて、兄弟の誰も会社を継がなかったから、しようがなく自分がチョーク屋をやらなきゃいけなかった。チョーク屋は、私にとって逆風でした。逆風のなかで最大限に自分を生かして、少しでもやりがいのある仕事にしようという思いがあったことは事実です。
 ラッキーだったのは、大学卒業前に、『二十四の瞳』の映画を見たことですね。「教師というのは心の彫刻家」という言葉に感激して、教育に関心を持ちました。知的障害者の子をなりゆきで受け入れて、ずるずるとやっていくうちに、ちっぽけながら知的障害者の働く場をつくって、彼らの面倒見ながらやるのもいいかな、「心の彫刻家」になれるかな、と。チョーク製造では大企業にはなれっこないから、せめてそんなことで気を紛らわしたらどうかな、という考えがいまにして思えば根底にあったように思います。
 佐々木さんも書かれていましたが、自分が思い描いた職業じゃなくても、人のために役に立つことを一生懸命やっていると、すごくラッキーな人生になり、自分が考えていた以上の大きな自己実現ができるというのは、私自身が実感したことです。障害者多数雇用のモデル工場になったり、商品開発で地域の支援が得られたり、ましてや渋沢栄一賞をもらうとは思ってもみませんでした。

佐々木 私は「なんのために働くのか」ということをずっと考えていて、「マズローの欲求5段階説」の5段階目「人は自己実現のために働く」というのが、40代にたどり着いた結論でした。
 でも50歳を過ぎてから、もうひとつ上があることに気づいたんです。人は自己実現のために働いているんじゃない、自分を磨くために働くんだ、と。世のため、人のために傷ついても失敗しても、自分を磨いていく。日々努力していれば、だんだん人間として高みに登っていくことができる。そうすると、やがては人に慕われ、尊敬される存在になっていくでしょう。自分を磨き続けていれば、最後は幸せとして、自分に返ってくる。大山さんの生き方にまさに重なると思います。

障害者雇用は日本経済のプラスになる

佐々木 私からみたら、日本理化学工業は一種の奇跡です。障害者雇用をできるかできないかは別として、ものすごくリスクが大きいですから、ふつうの経営者はしません。
 民間企業の法定雇用率は1.8%ですが、守らなかった場合には罰金(納付金)を払いなさい、名前を公表します、というだけ。なかには、お金を払ってでも雇わないほうが効率的だと思っている会社がある。そんなリスクを冒さなくても会社はやっていけると思っているんですね。だから、日本の社会には、障害を持った方が働く場所がない。
 自閉症の私の長男も何回か就職しかけたけれど、やっぱり無理でした。でも大山さんのところは社会実験して成功しちゃったから、みんなびっくり仰天です。やればできるじゃないか、と。だけど、世の中にはチャレンジしようという人はなかなかいない。ユニクロの柳井さんが障害者の雇用率を8%にしたでしょ。これもオーナー経営者だからできることであって、ふつうのサラリーマン経営者ではなかなかできないことです。こういう例があちこちから出てくると、大きな力になるんじゃないでしょうか。

大山氏

大山 いま「奇跡」というすばらしい言葉をいただきましたが、しょせんは大企業が参入しない小さな業界でのことですから。チョークという一定の需要がある商品をつくり、景気に左右されずやってこられたから、いまがあるのかなと。いまでこそ、先生がチョークを使わなくなって売り上げはダウンしていますが。
 障害者雇用の助成金制度がない頃に障害者を雇って、モデル工場をつくって、借金も返して、いまも会社が生き残っているからといって、ほかの人たちもチャレンジすればできるとは考えていません。ただ、重度の障害者が働くということが、まわりの人間にとっても幸せなことなんだ、ということに気がつかされたものですから、どんな人にも働く場を用意してあげなきゃいけないと思っています。

佐々木 みんな、いろんな人に手を差し伸べたいという思いはあるでしょう。でも、いまは非常に環境が悪い。経済が停滞したまま20年が過ぎて、いつ復活するかもわからないという状況ですから。健常者でも仕事がない。無理やり障害者を雇わなくても、健常者を雇って、政府の言う最低雇用率を確保したらそれで仕方ないんじゃないの、という空気があります。本当は政府が全体を設計しなきゃいけないと思うんだけど、国にもお金がないから難しい。

大山 私はたまたまヨーロッパに、障害者雇用制度を視察する機会に恵まれて。ベルギーでは、企業が知的障害者に働く場を用意し、その最低賃金を国が負担しています。企業は賃金を払わなくていい。福祉サイドで面倒をみるよりは、企業で働いてもらったほうが、本人にとっても嬉しいし、企業としても助かる。行政にとっても効率的だということで、そういう制度を導入しているんです。

佐々木 『障害者の経済学』の著者、慶応大学の中島隆信教授は、経済学最大の発見といわれている「比較優位」の原則を用いて、障害者雇用のメリットを説いています。
 比較優位はもともと貿易における考え方で、他国より優れている製品やサービスの生産に特化し、劣っている分野は輸入したほうが、互いに生産性、消費が上がるというもの。これを労働市場に置き換えて考えると、有能な人にしろ弱者にしろ、すべての人が人より相対的に優れている能力を生かして働き、あとからその成果を分配したほうが、みんなの利益が増えるということになります。つまり、弱者を排除することは、経済的観点からいって合理的でない、ということです。

大山 私も中島先生にお目にかかって本をいただきましたが、障害者の雇用はまさに国にとっても財政的に助かるはずなんです。
 私が渋沢栄一賞をいただいたとき、他の受賞者のうちお二人は教育関係に2億、お一人は医療関係に3億5千万円を寄付したことで、表彰されていました。日本理化学工業は一銭も寄付していないのになんでいただけたんだろうと思って、理由を聞いてみたら、「一般企業で働けない人たちを、施設で20歳から60歳まで40年間面倒をみたら一人当たり2億円以上かかります。日本理化学工業さんは60歳を過ぎた人を5人も卒業させていますから、2億×5人で10億も国のお金を節約させたんですよ」と言ってくれました。
 ベルギーに準じて最低賃金を日本でカウントしたら月12、13万で、年間150万円前後です。ならば、年間500万円かけて福祉で面倒みるよりも、企業に障害者の働く場を用意させ、国が企業の代わりに150万円の最低賃金を払ってくれれば、国は1人あたり年間350万円も節約できます。
 中小企業では、手取り足取り教える職人文化が残っていますから、労働力として障害者を生かしやすいでしょう。しかも、国が最低賃金を払ってくれれば、多少とも役に立った分は利益に結びつけられ、中小企業を元気づけることもできます。
 さらに、障害者本人や家族にとっても自立の道が開けることは喜ばしいことです。月に12、13万円の収入があれば、生活の面倒をみてくれるグループホームの費用6、7万円を払っても、多少余分なお金が残って、地域で自立して生きていけます。
 国も、企業も、障害者も、その家族も助かる。だから私は「四方一両得」と言っています。企業は採算がとれなければ、雇用はしません。だから、ベルギーのように、国が企業を応援する制度をやらなければいけない。まして、財政的にも節約できるなら、国がやらない手はないと思っています。

佐々木 国家のために何億というお金がプラスになるという大山さんのお話は、中島教授の主張と一緒ですね。日本が経済的にプラスになるためには、障害者を雇用したほうが絶対有利なのになぜやらないんだ、というのが中島教授の論調です。あれは、きわめて説得力がありました。

大山 福祉というのをいま、国は考え違いをしているのではないかと思っています。「福祉」という字には両方とも「しめすへん」がついていますでしょ。「しめすへん」は神様の恵みを表わし、幸福や幸せという意味です。漢和辞典を詳しく引くと、最初の「福」は、神様の恵みで人間が生きていくのに困らない幸せを指します。「祉」は、人間の心のなかに神様が止まって、人間の心を幸せにする。福祉=幸せというのは、モノと心の両方あって成立するんです。
 憲法は国民に「最低の文化的な生活」と「勤労の義務」を与え、本来の福祉を謳っています。でも現実は、障害者の面倒は施設でみればいい、となってしまっています。私に本来の福祉の意味を気づかせてくれたのは、禅のお坊さんに教えられた「4つの究極の幸せ」です。人に愛されること、人にほめられること、人の役に立つこと、人に必要とされることが人間にとって、究極の幸せである、と。障害者の方が施設で保護されるより、企業で働きたいというのは、本当の幸せを求める人間の証なのだと言われました。

佐々木 それは健常者でも障害者でも一緒ですよね。「世のため人のため」が自分の幸せにつながる。私の本に、大山さんの言葉を引用したら、みんなそこで感動していましたから。なかには、間違えて私の言った言葉としてブログに感想を書いている人もいて。何の誤解をしているんだって(笑)。

 
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