

「自由論」ジョン・スチュアート・ミル著からの一文です。恥ずかしながら原著は読んでいないのですが、2010年のベストセラー「これからの正義の話をしよう」の第二章でこのフレーズに出会いました。 欲求や衝動は普通、理性や利他的精神と対比されて否定的に扱われることが多いように思います。ですがそれがなければ、そもそも人は果たして「人だ」と言えるのか、とこの文章は問うています。
「世間や身近な人々に自分の人生の計画を選んでもらう者は、猿のような物真似の能力があれば、それ以上の能力は必要ない。自分の計画を自ら選ぶ者は、あらゆる能力を駆使する。」 とも、ミルは言っています。
自分の人生の計画を、自分の欲求と衝動に従って自ら選び取る。 この方針は、牡羊座の世界では、わざわざ提案されるまでもない、自明の心理です。



「森の生活」は、ソローが一人、森で生活した二年ほどの体験と思索がまとめられた書で、原題は森の名「ウォールデン」です。
「私が森へ赴いたのは、人生の重要な諸事実に臨むことで、慎重に生きたいと望んだからである。さらに、人生が教示するものを学び取ることができないものか、私が死を目前にしたとき、私が本当の人生を生きたということを発見したいと望んだからである。」 本当の人生。人生を生きる。ソローはそれを、想念や観念としてではなく、肉体と五感を通した体験として真に成してみたいと考え、それを行動に移しました。 この方針は、牡牛座の生きる方針とよく重なります。牡牛座の人もまた、人生を頭ではなく身体全体で、味わい尽くしたいと感じている人々だからです。このことは単に「感覚を刺激するものを求める」ということではなく、人生というものが持っているあらゆる可能性を味わい尽くそうとするまっすぐで誠実な貪欲さなのだと思います。
そうした思いを生まれ持つが故に、牡牛座のひとはいつも、とてもゆたかです。



双子座は、現実の中から詩を、詩の中から現実を、自在に紡ぎ出せる才能を生まれながらに持っています。
双子座にとって、現実と詩はまったく切り離されてはいません。
双子座の神話、カストルとポルックスの物語は、不死の神性と死に行く人間の結びつきの強さを象徴しています。作家が死んでも作品は死なないように、私たちは日々、自分の命も含めたあらゆるものを失いつつ、決して死なないものを創造し続けているのかもしれません。



ある本に紹介されていた、スウェーデンの諺です。
ここに「対比」されている行為はすべて、根っこを同じところに持っています。恐れと望みは同じ想像力から生まれます。愚痴と呼吸、無駄口と語ることは同じ「口」にまつわるテーマです。憎しみと愛をたどっていくと、ひとつの源泉にゆきあたります。
蟹座は、この「源泉」をとてもゆたかに、力強い形で所有しています。ですから、おびえの強い星座でありながら、同時に、非常に勇敢な星座でもあります。感情のうねりが大きいため、愚痴も多くなることがありますが、その共感する思いの強さが真摯に語らせる言葉には、人を動かす力が備わっています。憎しみと愛は、つねに蟹座の中で入れ替わる強烈なパワーです。
蟹座の人にとって、この諺に示されている「変換」は、とても大切な人生の「コツ」かもしれません。「less(少なくしよう)」とうたわれていることと、「more(ふやそう)」と促されていることとは、もともとは同じ才能の、異なる使用法でしかないからです。そしてそのおおもとの才能は、すべて蟹座の才能です。



夏の太陽の下に生まれた獅子座の人は、太陽よりうつくしく、穏やかに堂々とした微笑みを持っています。
獅子座の人の輝きが太陽のようである、ということは、獅子座という星座を支配する星が太陽である、ということに、ストレートに繋がっています。
太陽は太陽系の真ん中にあって、最も輝かしく強い星です。
自ら輝くことによって自然と周囲の惑星に「座」を与えている、究極のワガママが究極の奉仕に直結しているような、反転した構造を担った星座です。



「武器よさらば」の一節です。
乙女座の人が時々見せる、相手の最も痛いところを突くような知的な辛辣さは、このような愛情や思いやりから来ていることがほとんどです。
乙女座の人の愛情は、ただ感情を溢れさせたり、激情を自分勝手に相手にぶつけたりするような形をとりません。愛したときはかならず「相手にとって本当に役に立つことをしたい」と考え、気がついたときには、身体が勝手にそのように動いているのです。
ですから、時には誤解されることもあるのですが、乙女座に関わっている人はやがて、その愛の、がっしりした大木の幹のような信頼性に気づかされます。散文のように見えたフレーズが全て、聖なる詩であったことに気づく瞬間が来るのです。



天秤座を支配するのは、愛と美を象徴する金星という星です。
愛が時間のふるう大鎌に対して、ちゃんと対抗する力を持っているということを、シェイクスピアはその詩の中に力強く歌っています。
私たちが通常「愛」と呼んでいるものの中には、移ろいやすく、容易に裏切るような感情のきまぐれも含まれています。ですが、本来「愛」と呼びうるようなものは、そんなものではないのかもしれません。
愛と美の星に守られた天秤座という星座は、正義と理性の星座でもあります。 これは、「愛」の持つ本来の力を考えたとき、とてもふさわしい定義なのではないかと思います。
今まで愛と呼んできたものに、時間という強大な力を凌駕するほどのものがあるかどうか、それを考えてみると、愛するという行為が少し違って見えてくるような気がします。



ユダヤ人を迫害するナチスを糾弾したチャップリンの名台詞ですが、機械の頭と機械の心を持つ機械人間、というフレーズに、現代に生きる私は、リアルな衝撃を受けました。
機械の頭と、機械の心。私たちは「人間らしく」あるつもりでいながら、いつの間にか簡単に、生身の想像力を失ってしまうことがある生き物なのかもしれません。過剰に他人に善行や正義を要求したり、自分の権利を振り回して他者を省みなかったり、全く無意識に他者を差別したり…。「これが正しい」とインプットされればそれ以外の結論は受け付けないのが機械です。
コンピュータが深く浸透した現代においては、もっと巧妙な形で、「機械人間」は増え続けているような気もするのです。
こうした「機械人間」を見抜くことにかけて、蠍座の右に出る星座はありません。蠍座の人こそは、「機械人間」の対極にある、熱い血の流れる心を持ち続けることができる人々なのです。



冷酷なユダヤ人シャイロックをめぐる一連の騒動が終わり、我が家に向かうポーシャが窓の明かりを見つけて漏らす台詞です。
微かで小さなろうそくの光が、人を待っているように、導くように輝いている光景は、小さな存在に秘められた熱さや強さ、不思議な生命力を感じさせはしないでしょうか。 射手座は楽観の星座、と言われますが、その楽観にはふわふわした頼りなさではなく、ある無限の生命力が備わっています。
ろうそくの光をしばらく見つめていると、そこに強く激しいサラマンドラがちゃんといて、あらゆる可能性を象徴しているように思えてきます。
その輝きは、強く美しい恋人の瞳のように、神秘的です。



何かに挑戦しようとするとき、「ムリだよ」とか「非現実的だ」などと否定し、挑戦を実行させないようにしようとする力が必ずと言って良いほど、働きます。「出る杭は打たれる」などの諺もあるとおり、なぜか人は、挑戦する人を否定的な目で見たがる傾向があるようです。それは、彼らにとって脅威であり、羨望と嫉妬のない交ぜのような感情がはたらくからなのかもしれません。
山羊座は、実行する星座です。机上の空論は好みません。ですが、結果を出すことを重視するあまり、慎重になりすぎて、自分の実力を全て使うことを回避する場合もあるようです。
貴方が見積もる「自分の力」は、たいてい、小さすぎます。自信がなくなったときには、過去のことをちょっと思い出してみてください。「やってみたら思ったよりずっとうまくいく」という場合がほとんどであったことを、どうか、思い出して頂きたいのです。



映画「ルル・オン・ザ・ブリッジ」の中の、主人公イジーの台詞です。
人生はただそこにあるだけの、偶然の羅列のような無機質なものであって、それが生き生きと美しくなるのは、その人生を生きる本人が、人生に主体的に関わったときだけなのだ、という考え方は、客観と主体性を重んじる水瓶座の世界にしっくりとなじみます。 自ら関わることも、関わらないこともできる、人生。
日々が過ぎ去っていくことを受動的に受け止めるだけでも、生きていくことはできます。人生が灰色だと嘆く人々は、自ら人生を美しくする作業を誰かに預けてしまっているのかもしれません。
水瓶座は、自らの足で立ち、自らの頭で考える星座です。
ですから決して、自分の人生を美しくする作業を、他人の手にゆだねたりはしないのです。



肩書き、財産、勤め先の名前、家名、職業、学歴等々、人は自他の値打ちをはかるためにたくさんのラベルを作り出しましたが、それらの一つとして、本当の人間的価値を語るものはありません。
関わる価値のある人間、人生の謎に立ち向かう力を持つ人間を、魚座の人はそうしたラベルに惑わされずに見抜くことができます。
苦境や悲しみの中にあってそこから起ち上がる人の美しさとすばらしさを熟知している魚座の人は、真に愛するということの意味を生まれながらに知っている一族なのです。

参考文献・出典
- 「心に響け、シェイクスピア」 佐久間康夫・著 NHK出版
- 「暗唱したい、映画の英語」 映画英語教育学会/関西支部・著 金星堂
- 「音読したい、映画の英語」 映画英語教育学会/関西支部・著 金星堂
- 「英詩のわかり方」 阿部公彦・著 研究社
- 「人生を豊かにする 英語の名言」 森山進・著 研究社
- 「生きること」 乾 幹雄・著 大学書林
- 「森の生活」 ヘンリー・D・ソロー著 佐渡谷重信・訳 講談社学術文庫
- 「武器よさらば」 ヘミングウェイ著 大久保康雄・訳 新潮社
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